三輪修三様

2012年1月 新版書籍発売
  昭和06年(1931) 名古屋市生まれ。
  昭和28年(1953) 名古屋大学工学部機械学科卒業。
   (株)明石製作所で振動計測機器の研究開発と設計に従事。
  昭和41年(1966) 青山学院大学教授、同大理工学部長、同大副学長を歴任。
同大名誉教授。日本機械学会名誉員。
専攻は機械振動学、音楽音響、機械工学史。
共著に『回転機械のつりあわせ』『機械力学』(共にコロナ社)、『振動・騒音計測技術』(朝倉書店)など。

筑摩書房
工学の歴史 ─機械工学を中心に
三輪 修三 著

オイラー、モンジュ、フーリエ、コーシーらは数学者であり、
同時に工学の課題に方策を授けていた。
「ものつくりの科学」の歴史をひもとく。

定価:1,365円(税込)
刊行日: 2012/01/10      ★ 2012年 平成24年1月発行  ★   

明石製作所への入社は、昭和28年4月。
明石を退職されて、青山学院大学に移られたのは、昭和41年。明石在籍13年。


内容一部ご紹介
世界最初の地震計 (西暦132年) 後漢時代、政府の太史令(天文長官)だった張衡(ちょうこう)がつくる。



・レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519) 万能の大天才は、本質的には軍事技術者だった。
ガリレオ・ガリレイ(1564-1642) ガリレオの力学に「モーメント」が登場、しかし、定義はまわりくどい。
ニュートン(1643-1727) 力の概念を始めて導入。地球が描く軌道の運動原因、重力(万有引力)を示した。
・ダニエル・ベルヌーイ(1700-1782) 「ベルヌーイの定理」着想。著書「流体力学」(1738)を刊行。
オイラー(1707-1783) ニュートンの第二法則を md2x/dt2=F という微分方程式の形で表す。

・フランスの理工科学校エコル・ポリテクニク(1794設立)は工学の進歩をリード、
その後、高等技術学校(工科大学)として各国が倣う。
教授陣は、数学者ラグランジュ、フーリエ、ラプラス、化学者のベルトレ、フルクロア等。

ヤング(1773-1829) 弾性係数(ヤング率)を導入。「自然哲学と機械学に関する講義録」(1807)
ティモシェンコ(1878-1972) 「工業振動学」(1928)。弟子のデン・ハルトック「工業振動論」(1934)

・日本の高等技術学校は、明治6年(1873)工学寮工学校として開校。校長ヘンリー・ダイアー、6年制。
教師は全員イギリス人で、講義も卒業論文もみな英語で行われた。
シビル・エンジニーリング、メカニカル・エンジニーリング
電信、造家学(建築)、実用化学、採鉱学、熔鋳学(冶金)の7学科。
明治10年(1878)工部大学校に改称、明治19年東京大学と合併、帝国大学工科大学となる。

中国から伝わった学術用語 代数、幾何、函数、多項式、方程式、微分、積分、化学、電気、力学。
中国(清国)で漢文に翻訳された西洋理工学書が、幕末期、長崎経由で日本に入ってきた。

機械工学科で、教科書に出てきた、懐かしい定理や数式の名称。
それらが、人名であった事を改めて確認。その人物、時代背景を興味深く読みました。
あまり余分な説明の無い教科書で、理解に手こずったあの頃、
工学の歴史、こんな本があったら、数式の捉え方も違って、理解も深まったのではと。

幕末から明治の時代、先達は西洋書を翻訳する時、独自の和製漢語を創ったという。
法律、経済、資本、階級、分配、宗教、哲学、理性、感性、意識、主観・・他多数あるというが。
中国人の創った、中国経由のものもあったということをこの本で教えられました。
地震計が、中国で、はるか昔、後漢時代(西暦132年)に創られていた事も驚きでした。
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